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三国志界の革命児 マンガ『蒼天航路』の紹介・レビュー

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1800年前の中国を舞台にした三国志。

三国志を描いた作品は数多くあるが、『蒼天航路』はその中でもひときわ異様な三国志マンガだ。

三国志界に革命を起こした『蒼天航路』のありあまる魅力を紹介していく。

 

 

蒼天航路とは?

従来の三国志作品

マンガや小説、映画にドラマ。三国志の作品は多いけど、その多くは『三国志演義』がベースになっている。
『三国志演義』は、『三国志』などの歴史資料をもとにした小説である。

 

『三国志演義』の世界はこうだ。

舞台は中国の後漢。世は乱れ王宮は腐敗し、後漢王朝も今にも死にそうだが辛うじて生きながらえている。そんな時代。

 

曹操は自身の野望を隠すことなく、漢に変わって権力を手中に収めようとする。

つまり悪役だ。

一方主人公である劉備は、忠臣として漢を守るべく、曹操と対決する。

劉備の下には、関羽・張飛・諸葛亮など続々と英傑が集まり、超人的な武や神がかり的な知力を発揮して、劉備の正義をなそうと奔走する。

 

劉備・曹操以外の陣営は、劉備を引き立てるため、だいたいかませ犬となってしまう。

三国うちの一国を建国した孫権。その孫権を支えた周瑜ですら、劉備配下の諸葛亮の手のひらで踊らされ

「なぜ天は俺がいるのに、諸葛亮を生んだのか」

と、諸葛亮を羨んで死んでいく、可哀想な役回り。

 

と、これが『三国志演義』の大まかな構造になっている。

有名なマンガ横山光輝の『三国志』や、映画『レッドクリフ』など多くの映像作品も、『三国志演義』をベースにしているので、善玉劉備VS悪役曹操、プラスその他という基本構図は変わらない。

これらは、いわば「正統」、もしくは「王道」の三国志なのだ。

異色の三国志マンガ『衝撃のネオ三国志』

そんな中、全く新しい三国志ワールドをぶちあげ、三国志界に革命を起こしたマンガが『蒼天航路』だ。

 

どこが革命的なのか、何が面白いのかなど『蒼天航路』の魅力や特長を紹介していく。

『蒼天航路』の特長・おすすめポイント 

ストーリー

『蒼天航路』の重要なテーマが、物語冒頭の一文に表れている:

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蒼天航路 1話 曹操 

悪党と言われてきた者は本当に悪党なのだろうか

善玉と言われてきた者は本当に善玉なのだろうか

 

歴史は善と悪だけでわりきれるものではない

 

二〇〇〇年近くもの間 何十億という人々から常に悪態をつかれ

その悪名がアジアを超えて世界にも鳴り渡ったが

どんな誹謗中傷にも負けなかった男

 

曹操孟徳である                 (蒼天航路 1話)

そう、『蒼天航路』の主人公は、劉備ではなく「乱世の奸雄」曹操なのである。

 

 

史実における曹操は極めて創造的な人物であり、『三国志 演義から正史、そして史実へ』に書かれているように、曹操の進めた改革が以降の中国を支えていった。

 

時代の創造者を、通常の価値観で測ることは難しい。

もちろん、苛烈な部分があったことも事実だろうし、見方によっては悪となることもあろう。

そして『三国志演義』においては、敵役になってもらうため、その悪い部分しか書かれない。

しかし『蒼天航路』では、そんな曹操の創造性が全面に押し出されており、時代を超えた英雄の躍動が描かれている。

曹操は、ただ戦が上手いとか、政治に長けているとかだけではない。

「人」に対する興味は尋常ではないし、文学のみならず医学や建築、料理に至るまであらゆることに飽くなき探求心を発揮し、世界を動かしていく。

曹操のこういう創造的な面を軸にして話が進んでいくのだ。

 

曹操以外のストーリーも、全体的に『三国志演義』 とは一線を画す。

『三国志演義』では諸葛亮を羨んで死んでいく周瑜も、『蒼天航路』では真逆の最後を迎える:

心を燃やすは帝王の軍略 心を包むは孫家三代

天は一個の武心に

これほど裕福な天命を与えたことがあったか  (蒼天航路 291話)

 

同じ時代を素材にしながらも、『三国志演義』の世界とは全然違う三国志が展開されていく。

魅力的な、あまりにも魅力的な英雄たち

三国志において、メインは曹操軍と劉備軍だ。

この二つのどちらにも属さない人物は、たいてい引き立て役で、かませ犬扱い。

当然、活躍するシーンも少ない。

 

しかし、そこに蒼天航路は異を唱える。

曹操だけではなく、この脇役までかっこいいのだ。

曹操があまりに型破りなので、そちらに目が行ってしまいがちなのだが、主役以外の人物もまた魅力的なのである。

これも従来の作品ではあまり描かれなかった側面であり、この作品で僕が最も好きな点だ。

 

董卓は『蒼天航路』でも暴虐の限りを尽くすのだが、突き抜けすぎてカリスマ性があふれ出る。

三国志作品の中で、最も魅力的な董卓に違いない。

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蒼天航路 77話 董卓

また、ローマに言及するシーンがあるなど、非常に広い視野を持つ人物として描かれる。

 

前半のハイライト、官渡の戦いで曹操と戦った袁紹。

優柔不断な側面しか描かれないことが多い袁紹も、『蒼天航路』ではひと味違う。

王者とは何かを追求し、曹操とは違う道から対決に挑む。

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蒼天航路 161話 袁紹

 袁紹どころか、袁紹の息子たちも、自分たちの覇を唱える:

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蒼天航路 137話 袁尚

こんなにグッとくる袁尚は見たことがないぞ。

 

これまでの三国志において、主役陣営以外の印象的なシーンを、どれほど覚えているだろうか?

 

「かっこいい○○を初めて見た」

 

『蒼天航路』では、そんな場面を挙げていくとキリがない。

結果的に歴史の主役にはなれなかった、そんな人物でも、それぞれの生き様をふんだんに見せてくれるのだ。

迫力満点の画

そんな豪傑たちをさらに魅力的にしているのが、画の迫力だ。 

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蒼天航路 224話 張飛

 戦闘シーンも生々しい:

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蒼天航路 60話 徐栄

まるでレオナルド・ダ・ヴィンチの幻の絵『アンギアーリの戦い』のような臨場感。

 

見せ場で絵のタッチが荒々しいもの変わり、普段とは全然違う雰囲気になることも:

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蒼天航路 111話 典韋

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蒼天航路 217話 張飛

山水画風の絵も中国らしくてとてもよい:

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蒼天航路 212話

 

色々なテイストの絵が使い分けられており、見ていて飽きない。

注意点

曹操の創造性をふんだんに描かれているが、その副作用としてか、曹操の能力が人間離れしてしまって、感情移入が難しかったり、リアリティを損なっている面はある。

陳宮にもこう言われてしまう始末:

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蒼天航路 136話 陳宮

もう全部曹操1人だけでいいんじゃないかな。

 

曹操が超人過ぎて、むしろ劉備に親近感がわくかもしれない。
聖人君子のイメージが強い劉備だが、『蒼天航路』では泣いて懇願することもあるくらい、喜怒哀楽の激しい感情豊かなキャラクターになっている。
逆説的だが、『蒼天航路』では曹操より劉備の方が好きだという人も多いだろう。

 

それから、ほとばしる血の描写や残虐なシーンが多く、エログロが苦手な方はキツいと思う。
特に子供には勧められません(笑)
「子供に三国志の世界を知ってほしい」という方には、やはり王道の横山光輝のマンガ『三国志』がオススメです。

まとめ

横山光輝『三国志』など、『三国志演義』ベースの作品を読んだことがある人は、『蒼天航路』で新たな三国志世界が開けるに違いない。

 

単行本は全36巻だけど、場所を取らない文庫版なら全18巻。

 

 

単行本より少しデカくてぶ厚い極厚版も出ていて、これなら全12巻。僕が持っているのはこの極厚版です。

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