美術鑑賞に興味があるのに、「高級そうな趣味なので、気軽に楽しめなさそう。」って思っている人、多いのではないでしょうか。
芸術はハードルが高い趣味だと感じている人は、印象派から始めてみるのをオススメします。
私も初心者のとき印象派に触れ、そこから芸術の世界に入っていき、美術館を周るようになりました。
なぜ印象派はハードルが低いのか、その主な理由は次の2つです。
- 印象派は予備知識を必要としない。
- 印象派の巨匠の絵は、日本でも実物を見ることができる。
印象派は、歴史的にも、日本の地理的にも、とっても親しみやすい美術なんです。
この記事では、今挙げた2つの理由を詳しく説明します。
誰でも楽しめる芸術を目指した印象派
芸術鑑賞と聞くと、何だか高尚で近づきがたいイメージがありませんか?
「美術って難しいそう」
「予備知識が必要で、素人お断り感がある」
そう思ってしまうのには、理由があります。
印象派が生まれた時代には、芸術に序列があり、歴史画がもっとも偉いとされていました。
歴史画とは、歴史上の事件や宗教、神話をモチーフとした絵で、聖書や神話、歴史などの背景を知っていないと、何を描いた絵なのかすら分かりません。
描かれている登場人物が誰なのかを持ち物から判断し、歴史・神話のどこのシーンなのかを推測できるだけの広い知識が必要です。
このような歴史画は、教養がある貴族のための「読み解く絵」でした。
この時代に画家として成功するには、由緒正しきサロンに入り、伝統にのっとった歴史画を描かなければなりません。
そうして、特権階級のための絵が「芸術」として固定化していきました。
「芸術は特別な階級の人間だけのもの」
そういう時代も確かにあったんですね。
堅苦しいことを言わず、見ただけで楽しめる絵を描きたい!
そう思った画家たちが始めたのが「印象派」なのです。
印象派の画家は、正統派だったサロンに挑戦し、歴史画を捨てます。
そして、それまでは最も低俗だとされていた風景画を描き始めました。
彼らが目指したのは、新しい表現。
風景画を描き、水や風、空気といった美しい自然を表現することに心を砕きます。
絵の具を混ぜずに直接キャンパスに乗せることで、色とりどりの明るい絵がどんどん生まれました。
だから、予備知識がなくても、「何の絵なのか分からない」ということはありません。
純粋に絵そのものを楽しめるのが印象派なのです。
日本でも鑑賞できる印象派
印象派はフランスを中心とした西洋の美術です。
西洋美術を日本で楽しむのは難しいと思っているかもしれません。
例えば、ラファエロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、フェルメールといった有名・人気な画家の作品は、日本でお目にかかれることは非常にレアだといって言っていいでしょう。
普通は、飛行機で何時間もかけてヨーロッパ・アメリカまで行かないと、実物は鑑賞できません。
やっぱり芸術は実物を見て楽しみたいものですよね。
その点、印象派の作品は、日本にいてもホンモノを見る機会に恵まれています。
なぜなら、多くの美術館が印象派の作品を常設展示しているからです。
しかも、そんじょそこらの画家じゃないですよ。
ルノワールやモネといった、まぎれもない印象派の巨匠達の絵が、たくさん日本にあるんです。
とりわけ、日本でもファンが多いモネの作品は収蔵美術館が多く、日本各地で鑑賞できます。
「東京でしか見られない」なんてこともありません。
印象派作品を所蔵している国内の美術館をいくつか挙げておきます:
- 国立西洋美術館(東京都台東区)
- ポーラ美術館(神奈川県箱根町)
- DIC川村美術館(千葉県佐倉市)
- ブリジストン美術館(東京都中央区)
- ひろしま美術館(広島県広島市)
- 大原美術館(岡山県倉敷市)
- 地中美術館(香川県直島町)
これだけの作品を集めてくれた先人に感謝ですね。
日本における印象派の人気は非常に高いので、常設展のほか、印象派の特別展も毎年のように開催されています。
特別展は複数の地域を周ることが多く、普段は印象派が見られない美術館でも開催される可能性があります。
せっかくのチャンスを逃さないようにしましょう。
私も実物を見て芸術に入り込んでいきました。
是非、あのキラキラと輝く本物の絵を見てほしいですね。
印象派に興味を持った人へのオススメ本はこれ
とりあえず印象派がどんなものかを知りたいという人のために、『印象派への招待』を推奨します。
最初の数ページには、印象派の代表作品が見開きで掲載されています。
すごく綺麗で、印刷のクオリティが他の本より高い(気がする)。
ホンモノを見てみたいという誘惑に駆られてしまいます。
印象派の見どころの解説も簡潔で分かりやすく、興味を持った人への最初の一冊としてピッタリだと思います。
『印象派への招待』の姉妹本として、巨匠ルノワールだけを取り上げた『ルノワールへの招待』もあります。
最近、『モネへの招待』も出版されました。
この2人の作品をもっと知りたくなった人はこちらもどうぞ。
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